★ With Dears ★
<オープニング>


 昼下がりのプロダクションタウンに、エメラルド・レイウッドの主張がこだまする。
「見るするー、見るするー!」
 エメラルドは邑瀬文のスーツを握りしめ、半ば引きずられるように後を追う。
 外での仕事を済ませていた邑瀬だが、彼女がくっついているため次の相手先へ移動できずにいた。
「出来る限りの努力をしていますが、フィルムの入手は困難を極めております。入手次第連絡いたしますので、気長にお待ちください」
「見る、する」
 遠回しに言っても、エメラルドは退かない。邑瀬は笑顔をひきつらせた。
 始まりは五日前。『ムービースターは映画から実体化する』という事実を、エメラルドが知ったことから始まる。
 彼女は出身映画が見たいと対策課を訪れたものの、願いは叶えられない。
 なので知恵を働かせて、外出する邑瀬を捕獲したのだ。
「見る見る、するするー」
「…………」
 邑瀬も対応に困っていた。エメラルドの出身映画『With Wildthings』は海外のアングラ映画であるため、フィルムの入手は困難だ。万一手に入れたとしても、内容はミュージカルと肉弾戦とスプラッタを混ぜて炭酸で割ったような、えげつないものだ。
 鑑賞したことのある邑瀬は、未成年の閲覧は教育上好ましくない、と断言する。
 だから残りの予定とスーツの皺を諦めて、市内に異変がないか見回りをしている。
 傍目にはただの散歩だが。
 ため息をつきつつ角を曲がると、辺りの景色が一変した。
 濃い緑に覆われている。
 ビル街の面影は消え去り、異国の木や太いツタが繁っていた。年齢も国籍も時代もバラバラな男女が歩いている。
 ムービーハザードに遭遇したようだ。
 邑瀬はこめかみを押さえた。南国風のジャングルと、人の姿をした動物達。これはまるで。
「むかしの、おうち?」
 エメラルドが呟いた。
 まるで彼女の出身映画のようだ。けれど違いがいくつかあった。
 喋れないはずの登場人物は、一人につき一つの単語を喋っていた。「こんにちは」「ハンカチーフ」「私」脈絡のない言葉を。
 駆け出そうとしたエメラルドを掴まえ、ひとまず対策課に戻ろうとした邑瀬だが。
 こちらを見ていた、長躯の男と目があった。
 毛皮のコートをまとい、厳めしい顔で佇んでいる。
「アレク」
 エメラルドは男を呼んだ。男は鈍色の目を少女に向けた。
「確かに、アレクセイ将軍……」
 呆然と呟く邑瀬の手を逃れ、エメラルドは走る。再会に目を輝かせて。
 男は凶悪な顔を歪め、に、と笑った。身を翻してハザードの奥へ向かう。
 途中で革紐が切れ、エメラルドの右手首からプレートが落ちた。
 コンクリートにぶつかる金属音を後方に残して、赤毛の少女は宿敵を目指す。




 我に返った邑瀬は、対策課に電話をかけた。
「邑瀬です。プロダクションタウンでムービーハザードが発生しました。現場はジャングルになり、人の姿をした動物がうろついています」
 話しながら職場への帰路を急ぐ。
「映画『With Wildthings』に酷似していますが、設定の相違を確認しました。同一ではない模様です」
 似ているけれど、違うもの。
 邑瀬は一つの可能性に思い至り、もう一台の携帯電話を取りだして動画共有サイトに繋いだ。
 その間も報告を続ける。
「ハザード内にアレクセイ将軍というスターがいます。外見は成人男性ですが、本性はヒグマです。十分注意してください。また、ハザード内ではすべての生物が『外見だけ人間』になります。見分ける方法は会話ができるか否か、です」
 アレクセイ将軍は、島の覇者だった。何度もエメラルドの前に立ちはだかり、瀕死の重傷を負わせた強敵だ。
「これから、急ぎ対策課に戻ります」
 電話を切った邑瀬は、小さく呟いた。
「……あった。原因は、これですね」


 小さな液晶画面の中で、エメラルドと森の仲間と見知らぬその他大勢が、浮かれ騒いでいる。
 エメラルドは澄んだ歌声で歌を歌い、他の者は勝手に単語を繰り返す。
 歌声がクライマックスにさしかかると、皆は順番に一言ずつ声を発する。
 単語が連続して、一つの文章になった。


種別名シナリオ 管理番号882
クリエイター高村紀和子(wxwp1350)
クリエイターコメント『強敵』と書いて『とも』と読む……関係だったらいいのですが。
人外を擬人化してしまえシナリオ第三弾です。
ハザードが大体同じですが、独立した内容になっています。
戦闘メインです。

リリカル・カニバル・ミュージカル映画『With Wildthings』を素材としたMADムービーから、ハザードが発生しました。
プロダクションタウンが南の島となり、多数の凶暴な生物(外見は人間)がうろついています。一言喋りますが、やっぱり獣です。
目的は、将軍の発見・撃破です。

♪アレクセイ将軍
エメラルドが拾って育てて熊鍋にするつもりだったヒグマ。
際どいところで逃げて島の王となりました。
彼女とは、出会ったら死闘を繰り広げる間柄です。



【擬人化】
ムービーファン(バッキー)、人外系ムービースター限定注意事項。
ハザード内では外見だけ人間になります。
プレイングに外見設定をお書き添えください。男性っぽい・女性っぽい、程度の大雑把なもので結構です。未記入の場合は、ライターにお任せと解釈します。
細かく説明したい場合、『クリエイター向け説明欄』をご利用ください。ノベルに反映されるとは限りませんが、参考にします。

描写量の都合により、ファンご本人の活躍は控えめになります。

参加者
コレット・アイロニー(cdcn5103) ムービーファン 女 18歳 綺羅星学園大学生
ファレル・クロス(czcs1395) ムービースター 男 21歳 特殊能力者
T−06(cpsm4491) ムービースター その他 0歳 エイリアン
真船 恭一(ccvr4312) ムービーファン 男 42歳 小学校教師
トト・エドラグラ(cszx6205) ムービースター 男 28歳 狂戦士
来栖 香介(cvrz6094) ムービーファン 男 21歳 音楽家
ブレイド(cthn9492) ムービースター 男 27歳 不浪人
香我美 真名実(ctuv3476) ムービーファン 女 18歳 学生
<ノベル>


 鮮やかな緑、白い砂浜、紺碧の海。
 常夏のジャングルは良く晴れて、絶好のピクニック日和だった。
「ピクニックの日ー、ピクニックするー。お友達と一緒、ごはん食べるするー」
 エメラルド・レイウッドが陽気に歌いながら砂浜へスキップしていく。その横に、オーバーオールの少年が並ぶ。
「ごはんー。うまうま、うまー」
 続々と、仲間――擬人化された動物達が合流する。ジャンプスーツの美女。背広姿の男性。ドレッドヘアの青年に作業着が似合うおじさん。
「曇り」「おめでとう」「革靴」「カニ」
 彼らは割り振られた単語を繰り返して、コーラスに加わる。表情は微動だにしないが楽しげな様子だった。単語を連続再生している彼らと、流暢に歌うエメラルドは対照的な雰囲気を醸し出していた。
 砂浜に到着すると、山盛りのごちそうが待っていた。海の幸に山の幸、この島でとれるものなら何でもある。
「うわあああああ! ごちそう!」
「いた」「だきます」「今日」「は」「いい天気!」
 目を輝かせたエメラルドと、仲間達は走り出す。が、毛皮のコートを着た厳めしい大男が立ち塞がった。アレクセイ将軍だ。
 エメラルドは警戒もあらわに棍棒を構えた。森の王を前に、仲間達も緊張している。
 将軍はサーベルを抜いて、赤いマフラーの男を指した。
「つ!?」
 彼は目を白黒させ、自分を指さす。将軍は仏頂面で頷いた。男が前に出ると、将軍は次々に仲間を指名する。皆、素直に従った。
「アレクする、何?」
 エメラルドは棍棒を握る手に力を込めた。
 将軍は必要な者が一列に並ぶと、サーベルをタクトのように振った。仲間は順に、自分の単語を口にする。
「今日」「こそ」「決着」「を」「つ」「蹴る」
 言葉と言葉が連続して文章になり、エメラルドに届いた。発言者は紡がれた文章に動揺し、将軍と彼女を交互に見る。
「アレク……戦う、する!」
 エメラルドは眉をつり上げ、腰を落として身構えた。その周囲をかためる仲間達。アレクセイ将軍はヒグマそのもののうなり声をあげながら、新たに数人を指名した。
 新しい文章が構成される。サーベルがひらめいて、森の仲間達は言った。
「エメラルド」「食べる」「私」「の」「兄弟」「それから」「私」
 ――こいつは親兄弟を食った奴だ。そしていずれ、お前らを食べる。
 それでも味方につくのか、と将軍は尋ねている。
 仲間達はいっせいに逃げ出した。アレクセイ将軍もエメラルドも、捕食者。どちらが勝っても命の危険は変わらない。
 ものの数秒で、人影は二つになった。
 和やかなピクニックから一転、決闘の舞台となった砂浜。波が寄せては返す音が、鮮明に響いた。
「アレク、熊鍋する!」
 エメラルドは棍棒を振りかぶり、砂を蹴った。
 将軍はサーベルを構え、突進した。
 両者が交わる。




 邑瀬は残り二十秒のところで、動画の再生を中断した。
「これがハザードの原因となったムービーです。エメラルドが敗北し、アレクセイ将軍に食べられて終わります」
 ラストシーンを口頭説明に替え、パソコンのフリップを閉じる。
 原作では決着がついていない。それを物足りなく思ったどこかの誰かが、コラージュを重ねてこんな動画を作成した。
 そして実体化した。
「むごいことをするね」
 真船恭一は悲しげに呟いた。強敵と書いて『とも』なのに、殺し合いで決着をつけた上に夢のないラストシーンで締めるなんて。
「南の島に、歌を歌う登場人物達……素敵ね。少しスプラッタだなんて信じられないわ」
 膝の上にバッキーのトトを載せ、コレット・アイロニーが不思議そうに言う。原作を知らず、ムービーの結末を見ていない者に共通した感想だった。
 バッキーの聖を撫でながら、香我美真名実は邑瀬に尋ねる。
「何か話を聞くことは出来るでしょうか」
「何か、と言いますと?」
「動物さんたちの話す文章って、何なのかしら?」
 コレットが切り口を変える。邑瀬は指折り数えて返答した。
「作中に登場する文章は四つです。『いただきます、今日はいい天気!』『今日こそ決着をつける』『エメラルド食べる私の兄弟。それから私』『死んだ、死んだ、私を食べる子が死んだ』……最後の一文はラストシーンで使われます」
 真名実は首を傾げ、質問を変えた。
「では、原作と違って動物が話す理由、邑瀬さんにはわかりますか?」
「言ってしまえば単語カードでしょう。組み合わせて文章を作る、それだけの役割です」
 会話が途切れ、彼らは思案する。得た情報はあまり有益とは言い難い。結局のところ、やるべきことは変わらなかった。
 それまで黙っていたファレル・クロスは、コーヒーカップを置くと立ち上がった。
「熊鍋ですか。ずいぶんと原始的な料理ですが、実体化した記念に一度食してみたかったんですよ」
 彼は退治と同じくらい熊鍋に乗り気だった。躊躇することなくコマギレに出来そうですね、と呟いている。
 凶暴な動物がうろつくハザード。用心のために、と真名実は提案した。
「気をそらすように、肉や魚を用意してハザードに向かいましょう」
「魚屋さんに寄って、鮭を何尾か買って行きましょう」
 明るく言うコレットに、真名実は頷いて付け加える。
「タッパーか何か、臭いの漏れなさそうなものも必要ですね」
 もし臭いが服に移ったら、自分達が狙われてしまう。
 真船はスチルショットを借りた。バッキーのメンデレーエフ――ふー坊が、興味津々といった様子でファングッズに触れる。銃口に顔を突っ込もうとしたので、真船は慌てて止めた。
 四人はシンプルな目的に向かって、行動を始める。
 ――アレクセイ将軍の発見・撃破。
「ご武運を」
 対策課を出る四人と三匹を、邑瀬は見送った。




「ギャッギャ、ギギギギャーギャ!」
 ルシフ――来栖香介の凶悪なバッキーは疾走していた。
 二時間前、飼い主公認の半野良バッキーはハザードに迷い込んでしまった。人間の姿になり、驚いたり喜んだりしたのもつかの間。将軍に遭遇して一撃で倒された。バッキーだから弱いのは仕方がない。
 けれどバッキーにあるまじき凶暴凶悪な生物は、売られた喧嘩は借金してでも買うぞ! と戻ってきた。香介から借りた軽量化ボウガンを背中にくくりつけ、白い彗星のようにハザードに飛び込む。
 途端、ルシフの外見が変化した。黒い革ジャンをまとった、体格のいい男だ。レザーの首輪・短い銀髪・つり上がった三白眼のが揃って、そこらの悪役に負けない凶悪な姿を完成させている。
「ギャーッギャギャギャギャ!」
 彼が持つと、アルミフレームのボウガンは玩具のように見える。が、かなりの威力を誇る。『バッキーの体で運べる』と『殺傷力が高い』の最大公約数を香介が算出した結果だ。
 矢を装填して、ルシフはジャングル探索を始めた。
 凶悪な外見と迫力あるオーラのおかげで、出会う動物はすべて逃げていく。実体はバッキーというか弱い生物であるにも関わらず。

 運悪く巻き込まれたブレイドは、ジャングルを探り回っていた。
 濃厚な獣の臭いと裏腹に、うろついているのは人間。しかし外見が人間なだけで、思考も行動も動物だ。
「わかんねえな……」
 ややこしい状況に頭を痛めつつ、話の通じる相手を探し求める。不良のような外見とは裏腹に、ハザードを放置してどこかへ行ってしまおうという、無責任な考えはなかった。
 ブレイドは進化型人間で、常人よりはるかに五感が鋭い。比べてハザードの影響か、感覚は研ぎ澄まされていた。
 生き物の臭いが、足音が、心臓の音が、熱が。
 雲霞のようにおしよせる情報を取捨選択し、不要なものを遮断する。無意識下での調整を終えると、周囲に存在する気配が明確になる。
 その中に一つ、異彩を放つものがあった。
「獣の臭いはしないが……」
 人間だ、と断定できない。境界が曖昧なスターは大勢いるものの、それらとはまた別の、分類できない気配。
 ブレイドはそれに近づいていった。
 距離を挟んで相手を視認する。ボウガンを手にした凶悪な男――ルシフが、ブレイドに気づいて振り返った。
「ギャッ」
 矢が放たれる。ブレイドは木の上に跳んだ。次の矢をつがえたルシフだが、睨みつける眼差しの強さに手を止めた。
「ギャ……ギギャ?」
「何なんだ。何が起こっている?」
「ギャッギャ」
 ルシフの答えに、ブレイドはいらいらと舌打ちをした。ハザードの効果と相手の正体、両方とも理解できない。バッキーという可能性も何度か浮かんだが、ルシフの言動を見ていると自然に消えた。
 ルシフはルシフで、ブレイドを警戒してボウガンを構えたままだ。
 自然、にらみ合いになる。二人とも、長身で威圧的な雰囲気なのだが別方向の『ワル』だった、片や、いざという時には頼れる仲間。片や、犯人役まっしぐらな凶悪人物。
 膠着状態を破ったのは、ブレイドが先だった。
「来る」
 獣ではない気配を感じて、低く呟いた。直後、密林の奥から異様な雰囲気の人物が現れる。ハザードに巻き込まれ、さまよっていたT−06だった。
 金属質のクリーチャーは、十代後半の人間になっていた。均整の取れた、性別のない裸体をさらしている。血の気がない灰色の肌は本来の姿の名残か。
 濃灰色の髪に隠れて表情はうかがえない――が、奥で金色の瞳が輝いていた。
 表紙に『無害』と書かれたお絵かき帳をどこかで落としてしまい、正体不明に拍車を掛けている。
 T−06は変わり果てた外見に慌てて、混乱し、疾走し。彼らに遭遇した。未知の相手に対して吠える。ブレイドはその声に、焦燥と混乱を聞き取る。
「ギギャ」
 ルシフがボウガンの照準をT−06にあわせた。威嚇の姿は、怯えたT−06には殺意に映る。本能的に反撃した。つきだした手首から『何か』が飛び出し、ルシフを狙う。
「ッギ――」
「逃げろ!」
 ブレイドは樹上から飛び降りる勢いのまま、ルシフに体当たりした。『何か』はブレイドの背中をかすめ、ジャケットを切り裂いて肌に達する傷を与える。
 流れた血は『何か』を伝い、T−06の手首で雫を落とした。不可視の鉤爪が赤く縁取られる。
 にぃ、とT−06は笑った。小さな牙が口元に覗いた。いつものように尾を振れば、背後の木が『何か』に断ち切られる。
「ギ、ギギ」
 ――あぁ、なぁんだ。あるじゃないか。なんにもかわってないじゃないか。
 ハザードで変化するのは見た目だけ。それをT−06は理解した。混乱が過ぎれば、今すべきことは安全の確保だと気づく。そのためには脅威の排除が必要だ。まずは目の前の二人から。
 T−06は地面を蹴った。一瞬でブレイドの懐に飛び込み、隠し爪を繰り出した。ブレイドは受け流して顔面を殴る。骨がしびれるほどの手応え。
 その間に、ルシフは距離をあけて攻撃の隙をうかがった。バッキーとは思えないほど好戦的な生物が、喧嘩を売られて引き下がるはずがない。
「厄介だな」
 ブレイドはいったん離れ、目を閉じた。感覚を一つ閉ざしてしまうが、錯覚を遮断すれば相手をより鮮明に感じる。
 それを好機と受け取りT−06はブレイドに襲いかかった。
 振り下ろされる『何か』の気配。ブレイドはそれを鷲掴みにした。
「ギギ」
 T−06は焦った。尾の一撃を防がれた上、動きを封じられている。
 すかさずルシフがボウガンを放った。堅牢な外殻と外殻の隙間に矢が刺さる。強酸性の血液は、じわじわとにじんで矢を溶かした。
 形勢は逆転していた。ブレイドは尾を握る手に、力を込める。
「てめぇの負けだ。逃げるんなら深追いはしない」
 T−06は金属がこすれあうような鳴き声を上げた。エイリアンの闘争本能が、負けを認めない。わざと仰向けに転んだ。尾に引きずられ、よろめいたブレイドにT−06は蹴りを見舞う。
 ブレイドは片腕で腹部をかばったものの、その脚力は強烈で後方へ飛ばされた。木にぶつかり、肩をしたたかに打ちつける。
 T−06は飛び起き、ジャンプのために足をたわめる。その鼻先を、ボウガンの矢がかすめた。
「ギャ!」
「……ギ」
 ルシフは揺るがない事実を知っている。自分はバッキーだ。攻撃を受け止める、それだけの衝撃で気絶してしまう。だから回避と道具の利用に重点を置いた戦い方を、研究し続けてきた。
 飛びかかるT−06をバックステップで避け、木々を盾にして翻弄する。
 杵間山やダイノランドの連中とは格が違うスピードに、冷や汗が浮かぶ。とどめを刺してやりたいが、攻撃をかわすので精一杯だった。
 柔らかい地面に靴を取られ、ルシフの動きが鈍る。
 繰り出される鉤爪。けれどルシフに届く前に、大剣の峰が、T−06の体を横薙ぎに払った。
「大丈夫か?」
 割って入ったのは、筋骨隆々とした古代ローマ風の戦士だった。
 トト・エドラグラだ。一方的に苦戦するルシフを見つけて、加勢に入った。
「ギャ」
「負けだ、って言ったよな?」
 そこへブレイドが駆けつける。
 三対一では分が悪い。T−06はギチギチと鳴いて、逃走した。
 深追いしないと言った手前、ブレイドは渋い顔で見送る。
「聞いたことがあるな」
 トトはT−06の鳴き声に、首を傾げた。動物園のスタッフと居候という関係なのだが、様変わりしすぎてお互いを認識できなかった。
 当面の脅威が去り、トトは襲われていた二人に気遣わしげな視線を向ける。
「オレはトト。あんたら、怪我はないか?」
「俺はブレイド。かすり傷だ」
 ジャケットが派手に裂けているが、皮膚が傷ついただけで大した怪我ではない。
 ルシフも無傷だ、と頷く。そしてブレイドにそっけなく言った。
「ギャ、ギギャ」
「『借りは返した』?」
 内容はわからないながら、トトは意訳する。ブレイドは尋ねた。
「サンキュ……わかるのか?」
「何種類かの動物とは、意思疎通ができる。バッキーの言葉は、なんとなくってレベルだな」
「……バッキー?」
 語尾をはねあげ、ブレイドはルシフに人差し指を向けた。
「ギャ」
「ああ」
 改めて匂いを確認してみれば、バッキーっぽい……かもしれない。
 トトが二人に質問する。
「何が起こってるか、あんたらわかるか?」
「ギャ」
「そうか。ルシフ、説明を頼むぜ」
 他人とはなるべく距離を置きたいブレイドだが、最低でもハザードの効果を知っておきたい。ルシフの話を聞いている、トトの肩を叩いた。
「俺にも教えてくれ」




 ハザードに入った途端、バッキーの姿に変化が訪れる。
「トト!」
 コレットのピュアスノーは、淡い色彩の少年に。コレットのスカートに顔を埋めて、甘えている。
 真名実のミッドナイトは、親戚のような女の子に。栗色のショートボブで、目元がよく似ている。黒いハイネックセーターとダークグレーのプリーツスカートというモノトーンのコーディネートも、真名実に近い趣味だ。
「聖」
 真名実が呼ぶと、聖はおとなしい目で彼女を見上げた。
 そして真船のピュアスノーは、十三歳ぐらいの男の子に。ダッフルコートと黄色いマフラーで、見えないお洒落としてボイルドエッグ柄の腹巻きを着用している。
 ふくふくした手で自分の顔を触りまくり、なんだか人間になったことを理解するとやんちゃに動き回る。寝癖なのか、はね上がった髪の毛がひょこひょこ揺れた。
「ふー坊……!」
 りんごのような頬にえくぼを浮かべ、ふー坊は『おとうさん』に手を振る。
 真船は嬉しさのあまり失神しかけた。聖に軽く背中を叩かれ、どうにか意識を保つ。
「まずはアレクセイ将軍の発見ですね。別れて探しましょう」
 スターのファレルはつまらなそうな表情で見ていたが、一段落ついたので提案する。確かに、バッキー含め七人の大所帯では、動きが鈍るし相手に気づかれやすい。
「お魚の匂いをさせながらジャングルを歩いてたら、そのうちアレクセイさんが来てくれるんじゃないかな……」
 コレットが、鮭の切り身を入れたタッパーを取り出す。バッキーのトトは背伸びをして、鼻をひくひくと動かした。ファレルは自然に横に並ぶ。
「戦闘は任せてください」
 ファレルを兄のように思っているコレットは、素直に頷いた。
 それでは、と真船は真名実に声をかける。
「一緒に捜索しないかい?」
 自分の戦力に不安はあるものの、女性を二人だけにしておくのは心許ない。
「そうですね、お願いします」
 真名実の言葉に、聖がぺこりと頭を下げる。ふー坊は真船の腕にぶら下がった。
 二手に分かれて、行動を開始する。




 ハザード内ではすべての動物が擬人化される。
 単純な仕組みだった。
「ギギギャ」
 そしてルシフは『コートの男』をボッコボコにしてやると息巻いている。
「手伝うぜ」
 トトは胸を叩いてうけおった。
 ブレイドは逡巡した。巻き込まれたとはいえ、すでに当事者になっている。それにすべての感覚は冴え渡り、身体能力も向上していた。相手の発見ぐらい、たやすいだろう。
「探してやる」
 臭いを音を、動くものを感じる。肌に触れる空気の違いに、舌に触れる微細な刺激から判断する。――人間の気配があった。
 それは結構なスピードで接近してくる。
「来るぜ」
 ブレイドの警告に男達は身構えた。茂みをがさごそと揺らし、小さな影が飛び出す。
「アレク!」
 声と共に振り下ろされた棍棒を、トトは片手で受け止めた。
「……お?」
 現れたのはエメラルドだった。彼女は勘違いに気づき、集っているワルとワルと狂戦士を順番に見る。どれも強そうな相手だ。
「ギャギャ」
 ルシフは鼻先でせせら笑った。
 エメラルドはルシフを見て、首をひねって、また見て、思い出した。
「まっしろもちも……ルシフ!」
 棍棒を手放し、ダッシュで抱きつこうとしたが華麗に避けられる。エメラルドはすっ転んで一回転して立ち上がった。
「知り合いか?」
「ギャッギャ」
「『一応な』だと」
 子供嫌いオーラを放つブレイドが首をすくめ、棍棒を持ったままのトトが笑う。
「わし、エメラルド!」
「ギャギャ、ギギャギャ」
 ルシフがあきれ顔で言う。
「ハザードの原因はお前だろ?」
「これ、わしやった、違う!」
 トトが通訳すると、エメラルドは憤慨した。
 説明を簡単にまとめると、以下の内容になる。
 これはアレクセイ将軍が引き起こしているものだ。アレクセイ将軍とはヒグマである。アレクセイ将軍は非常に凶暴なので、見つけたら熊鍋の具にするべきである。ちなみにアレクセイ将軍とは、毛皮のコートを着た大男である。
「わし、育てるした」
 威張ってふんぞり返っている。
「ギャ」
 ルシフは感嘆とも呆れともつかない独り言を呟いた。
 ブレイドは少し頭痛を覚えた。ひっきりなしに五感を刺激されているから、だけではない。
「…………。アレクセイを探せばいいんだよな?」
 早くケリをつけてもらおうと、ヒグマのに限定して気配を探る。
 トトはエメラルドに棍棒を返した。ふと思い出し、途中で拾ったものを差し出す。『Emerald Evangeline Laywood』と刻印された金属プレートだ。
「これ、あんたのか?」
「お?」
 エメラルドは自分の右手を見て、いまさら落としたことに気がついた。
「おお、わしの! わしの名前、書くしてある」
 金色のプレートに刻まれた無数の傷とへこみは、映画内での過酷な生活を物語っているかのようだった。
 トトから受け取り、ぎゅっと両手で握りしめる。
「トト、ありがとう。アレク、これ嫌い言う。熊除けのお守り」
 それを聞いて、ルシフは大型の肉食獣のような笑みを浮かべた。有無を言わさない迫力で手を突き出す。
「ギャッ」
「……貸す、するだけ」
 復讐に燃えるルシフへ、プレートが渡された。バッキーらしさが欠片もないバッキーだ。
「見つけたぜ。あっちだ」
 ブレイドは西の方角を指し、案内として先頭を歩く。
 ボウガンの安全装置を外すルシフ。
 大剣の柄に手をかけるトト。
「あっち、あるは……海!」
 体格のいい男達の後を、棍棒を持ったエメラルドは小走りになってついていった。




「きりがないですね」
 ファレルは木の分子配列を変更して檻を作る。襲ってきた動物はその中に閉じ込められた。
 鮭の臭いにつられた動物が次々に現れて、釣りで言う入れ食い状態だった。
「お腹が空いているの? 食べる?」
 コレットは檻の中で暴れる動物に、切り身を差し出す。飢えた相手に手首ごと奪われそうになり、ファレルは腕を掴んで助けた。
「危険です」
 彼女を危険にさらさないように、同行を申し出たものの。ちょっとした隙を見て動物が襲ってくる。動物にすればファレルは『強そうな敵』に見えないし、コレットとトトは『弱そうな獲物』だった。
 それにファレルが誰も殺さず、檻を作って閉じ込めるだけなのも襲われやすい原因になっていた。
 ファレルは舌打ちをする。タッパーを閉じて、魚の臭いが漏れないようにしてある。だが一度居場所が知れると、続々と動物が現れる。
 らんらんと光る無数の目が、三人を狙っていた。
 徐々に包囲の輪を狭めていく。
 コレットはしがみついて震えるバッキーを、安心させるように抱き締めた。
「トト。……ファレルさん、どうしよう?」
「例えハザードと無関係でも、襲ってくる相手に手加減する必要はないでしょう」
 動物達がいっせいに襲いかかった。
 ファレルは紳士的な対応を諦め、空気の刃を放つ。
「じゃない」「青」「たらふく」「マンゴスチン」!
 断末魔と、転がるフィルム。
「コマギレにしてさしあげますよ」
 ファレルの『強さ』を見て、動物達はくやしそうにうめく。
 その時、ファレルの足下から土木作業員が飛び出した。元モグラだろう。両足を掴む。
「太陽!」
 不意を突かれた一瞬は、動物達にとっての好機だった。いっせいにファレルを狙う。
 足下の敵を切り裂いたものの、両腕にサルが噛みついてぶら下がった。パーマ頭のおばさんが、喉を狙って大口を開ける。
「ファレルさん!」
 コレットの悲鳴。
 数の暴力に負ける、直前。
 トトの大剣がひらめき、敵を真っ二つにした。
「加勢するぜ」
 途中で騒ぎを聞いた四人が、駆けつけたのだ。彼は豪快に笑い、コレット達を背中にかばう。
「……消えろ」
「ギャーギギャ、ギャッギャッ!」
 不機嫌なブレイドとルシフの威嚇で、動物達は後ずさった。
「Stamp stomp stomp♪」
 さらにエメラルドが歌えば、本能に刻まれた恐怖がよみがえる。
「やるか!?」
 ライオン獣人の本気の喧嘩を、買う者は誰一人としていなかった。蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
 エメラルドは、コレットの前にしゃがんで首を傾けた。
「怪我、あるか?」
「私より、ファレルさんが……」
 涙を流す彼女に罪悪感を覚えつつ、大した怪我じゃありません、とファレルは言った。




 点々と転がるプレミアフィルム。
「いるな」
「いますね」
 真船と真名実は気を引き締めた。
 フィルムは、スターの死体だ。つまり殺した『誰か』が近くにいる。
 ふー坊は真船が作った、蔦の両端に石をくくりつけた武器を振り回して『おとうさん』を守るとアピールしている。
「無理はしちゃいかんよ」
 嬉しくも心配になって、真船は言う。
 聖は真名実の腕を叩いて合図した。
「どうしたの?」
 彼女は木の枝にひっかかっている物を指した。
 表紙に『無害』と書かれたお絵かき帳だった。鉛筆とクレパスも一緒に落ちている。
「誰かが忘れていったのかしら」
 真名実は中を見た。子供の絵と下手くそな字が、のびのびと書かれている。それとは別に、大人の画風でページの隅にパラパラ漫画が描かれていた。
 ふー坊はふと顔を上げ、自分からスチルショットにつながった。
 やがて、彼らの前に灰色の肌の人物が現れた。少しの傷と大量の返り血で着飾ったT−06だ。
 T−06は跳躍した。二秒で相手を射程距離に入れる。
 真名実は聖を抱き締める。彼女はささやかな抵抗として、お絵かき帳でT−06の鼻を叩いた。
「……ギ?」
 T−06は動きを止めた。『無害』の文字。そう、自分は人類と敵対するつもりはない。
 聖と真名実を、食べてしまうことは簡単だ。
「怖がっているのかい?」
 真船の声に、T−06はゆっくりと振り返った。彼はふー坊を片手でなだめ、スチルショットを下に向ける。
「僕達は対策課の依頼をうけてやって来た。ハザードを解決するのが目的だ。君を傷つけたりせんよ」
 少し声を震わせながらも、真船はT−06に優しい言葉をかける。
 T−06は動物園の飼育員を、順番に思い出した。『タロー』と呼んで可愛がってくれる人達。真名実からお絵かき帳を受け取り、筆談モードに入る。
『ニンゲン てき→× みかた→○』
「ああ」
『てき たおす てつだう』
 一緒に戦おうと言っている。
「では……」
「…………」
 真船はふと我に返り、真名実は横を向いて聖の目を手でふさいだ。
 T−06は全裸だ。エイリアンの名残をそこはかとなく漂わせつつ無性だが、全裸だった。
 真船はコートを脱ぎ、T−06に羽織らせた。
『てき あっち →』
 T−06はお絵かき帳で、方角を示した。
 アレクセイ将軍は、遠くない場所にいる。




 アレクセイ将軍は、浜辺でエメラルドを待っていた。
 将軍は、エメラルドが原作――よく似た別の映画――出身だとは知らない。『彼の知る』エメラルドなら、ここで決闘するのは暗黙の約束だとわかっている。だが『ここの』エメラルドはそんなこと知らないので、スターやファンと一緒にハザード内をうろついていた。
 じっと、将軍は待ち続けた。
 ざざん……ざぱん、と寄せては返す波。いつの間にか夕日が水平線に触れようとしている。
 それでもひたすら待った結果。
「アーレークー!」
 エメラルドの声に、アレクセイ将軍は振り返った。そして度肝を抜かれた。
 彼女は仲間に囲まれていた。コレット、トト(バッキー)、ファレル、トト(スター)、ブレイド、ルシフ。
「拾った、育てた、食べる!」
 エメラルドが宣戦布告した。
 アレクセイ将軍はサーベルを抜き、まっすぐに強敵を目指す。
 しかし横合いからT−06が飛びかかった。将軍はサーベルで受け止めた。その顔に果物が命中する。隠れていた真船が投げたものだ。
 真名実と聖が果物や石を集めて、真船とふー坊がひたすら投げる。
 ダメージは無いに等しいが、かなり鬱陶しい攻撃だ。将軍は標的を真船に変えた。
 しかしT−06は邪魔をする。見えない尾と爪で矢継ぎ早に攻撃を繰り出した。真船をかばっているようにも見える。
 全裸にコート、首から『無害』のお絵かき帳というビジュアルを気にしなければ、とても格好いい。
 怒り狂った将軍が吠える。
 T−06は耳障りな金属音で応じた。
「タローちゃん!」
 鳴き声と『無害』のお絵かき帳が揃って、トトは彼の正体を理解した。
「知り合いか?」
「ギギャ?」
「ああ。動物園に住んでいる奴だ」
 敵が増えたか、と危惧していたブレイドとルシフは、それを聞いて肩の力を抜いた。
 T−06にばかり、戦わせておくわけにいかない。
「アレク、わし、ここ!」
 エメラルドは飛び跳ねて、気を引く。
 T−06を押しやり、アレクセイ将軍はふたたびこちらへ向かってくる。
「ギャ!」
 ルシフはボウガンの矢を放った。先端に、あのプレートをくくりつけてある。
 ファレルが能力で、矢を誘導した。空気の分子組み替えを連続させて、速度を上げると共に進路をずらす。
「ファレルさん、外れてるわ!」
「いいんです」
 正面からでは落とされる。そう言外に続けた。
 傷だらけの将軍が走ってくる。
 エメラルドの前にブレイドが立ち、腰を落として拳を構えた。
「アレク、わし、勝つする!」
 将軍は吠えた。サーベルを繰り出すがトトの大剣にはじかれ、細い刀身は折れて飛んだ。
 後ろへ跳んだアレクセイ将軍の肩に、真横からボウガンの矢が刺さる。叫んで矢を掴んだ彼は、プレートの感触にさらなる悲鳴を上げた。
「ギギ!」
 T−06の隠し爪が将軍の心臓を貫いた。
 十二対一。群れと個の戦力は、あまりに違った。ただの足し算ではなく、仲間が集まれば乗算になるのだから。
 アレクセイ将軍は倒れ、動きを止めた。
「熊鍋!」
 エメラルドは舌なめずりしながら叫んだ、が。
 スターは死ぬと、プレミアフィルムになる。
「――あ」
「ああ……」
 砂浜に転がったフィルムに対して、残念そうな声と安堵の声。熊鍋の夢は潰えた。
 ハザードはかげろうのように終わりを告げ、現場は元のプロダクションタウンに戻った。
 プレミアフィルムがいくつか、散らばっている。




 ――翌日。
「食事会?」
 小用で対策課を訪れた来栖香介に、邑瀬が招待状を差し出した。
 個人的な面識はない。怪しんでいると彼は説明する。
「バッキーのルシフさん宛てです。ハザード解決に関わった方、全員にお渡ししています。映画を見ながら掘りごたつで熊鍋を囲みましょう、というお誘いです」
 放し飼いバッキーが、どこかで何かをやったらしい。
「上映内容はアレクセイ将軍のプレミアフィルムです。真偽より、ロマンを大切にしました」
 邑瀬が意味深な発言をするが、香介にはさっぱりわからない。ふぅん、と気乗りのしない返事をして、一応受け取った。
「見かけたら渡しておく」
 当日までに、ルシフと顔を合わせることがあるだろうか。
 残された一巻のフィルムには、原作関係者でもファンでもない、彼自身が見たかった決着が刻まれていた。




「アレク、熊鍋する!」
 そう宣言して駆け出す少女。アレクセイはサーベルを振るった。

 暗転した画面。
 閃光が走る。
 かぁん、と響く音。

 はじき飛ばされた棍棒が、波打ち際に落ちた。
 エメラルドは膝をつきうなだれている。
「勝った!」
 アレクセイ将軍は轟くような声で宣言した。
「負けた!」
 エメラルドも雄々しく認めた。
 男が手をさしのべると、少女はそれにすがって立ち上がる。
 踊りながら、ソプラノとバリトンで合唱する。
 喧嘩して仲良くなった二人を見て、怯えていた仲間達も集まってくる。
 一人一つの言葉でも、みんなで協力すれば自由に話せた。歌だって歌える。
 

 棍棒は波にさらわれて、遠くへ運ばれていく。

クリエイターコメントご参加ありがとうございました。
これにて擬人化シリーズは終了です。

皆様のプレイングをいただいて、あのような結末になりました。
お楽しみいただければ幸いです。
公開日時2009-03-12(木) 22:30
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